検体の種類の違いは。

2022年03月11日

A:以下のような違いがあります。いずれの場合も、職員(医療従事者等)の立ち合い(管理下)の元採取を実施する必要があります。
1.鼻咽頭ぬぐい液
SARS-CoV-2 は上気道から感染するため、感染初期には鼻咽頭ぬぐい液は最も標準的で信頼性の高い検体と考えられる。反面、自己採取ができず、医療者による採取が必要であり、飛沫に曝露するリスクが高いため、感染予防策を徹底した上での実施が前提となり、また適切な部位から採取する必要がある。
2.鼻腔ぬぐい液
採取時には、鼻孔の方向で鼻腔に沿って 2 cm 程度スワブを挿入し、挿入後スワブを 5 回程度回転させ、5 秒程度静置し湿らせる。医療従事者の管理下で被検者自身が検体を採取することが可能であり、医療従事者への曝露するリスクを低下させることができる。検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と比較するとやや低いとの報告があり、引き続き検討が必要であるものの、実用性と医療者の感染予防の面から有用な検体であるとされる。
3.唾液
飛沫を発しにくいため、周囲への感染拡散のリスクが低い検体と考えられる。検出感度は鼻咽頭ぬぐい液と同程度と考えられ、採取手技に左右されない利点もあり、実用的な検体であるとされる。脱水等で唾液が出ない被検者は、検出感度が低下すると予想される。採取に伴い、注意点あり。
4.痰
肺や気管支など下気道の状況を反映するため、咳嗽などの呼吸器症状を有する、ある程度疾病が進行している患者では、最も感度が高い検体の一つと考えられる。一方、痰の喀出時には飛沫が発生し周囲への感染リスクがあるため、採痰室などの個室で被検者自身が採取するのが適切であるが、被検者単独での検体採取が可能か否かは年齢や病状などを勘案する必要がある。周囲に人がいる場合の採痰では、鼻咽頭ぬぐい液同様に感染防御策が求められる。

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